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TLOS日本語訳がついに発売
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    待望の The Land of Stories 日本語エディションが 7月に発売されることになりました。





    しかも3ヶ月おきに全6巻の刊行がきまっているようです。




    ネットでも購入できますが、できれば書店に並んでほしいので、書店予約をするつもりです。

    ちなみに平凡社さんからです。


    日本語版は難しいと思っていたので、嬉しいニュースですね。映画化の話も進んでいるようなので、日本でも公開される可能性も。



    そんなクリスも先月28歳に。



    さわやか〜。そして充実してるようです。
    今年の夏はこれで乗り切ろうと思うます(笑)


    | hanno | 08:13 | comments(0) | - | - |
    【TLOS3ブログ読書会】chapter23(前半)ver.1.0
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      エルフ帝国



      「ハッピリー・エバー・アフター議会の兵の半分は、もう半分の兵がそれぞれの王国を守っている間は隠れているの」アレックスはトロブリン兵に説明した。「エルフ兵を勧誘したら、隠れている全ての兵は、王国を守っている残りの兵と合流して大陸軍に立ち向かう。あたしの合図があったら妖精王国で合流するのよ。なにか聞いておきたいことはある?」

       トロブリン兵は800人強のトロールとゴブリンで構成され、その多くが退屈しのぎの新参者たちだった。彼らは湖に浮かぶドーナツのような木製の円形劇場で、アレックスの前に座っていた。

       アレックスの説明に質問で手を上げたトロールはひとりだけだった。

      「鼻に骨を刺してるきみ」コナーが彼を指名した。「質問は?」

      「議会の兵に入ったら、見返りはあるのか?」トロールは訊ねた。

       トロブリンの兵たちはざわめき出した。アレックスは協力してもらう見返りについては何も言ってなかったのだ。

      「何が欲しいんだい?」コナーが訊ねた。「羊を何頭かあげれるし、それとも固い地面がいいかな?」

      「自由を取り戻したいんだ!」後列にいたゴブリンが叫んだ。

      「そうだ!この王国から離れる権利が欲しい!」前列のトロールがわめいた。

       トロブリン兵全体が賛成した。「自由!自由!自由!」彼らは一斉に唱えた。

      「静かに!」トロールベラ女王が命じると、円形劇場は静かになった。「せっかく水の世界を作ったのに、離れたいだなんて酷いわ!しかもやっと船酔いしなくなったばかりじゃない!」

       劇場の中層にいたゴブリンが前かがみになり、前に座っていたトロール全員に吐いた。

      「えっと、ほとんどが船酔いしなくなったってことね」トロールベラは自ら訂正した。

       コナーは彼らの自由の要望に呆れていた。「奴隷制をやめようとしないから、ここに閉じ込められているんじゃないか!僕たちは一度ならず二度までも奴隷にされたんだからな!本当に自由になれると思っているのかい?」

       トロールベラは腕を組んだ。「人間がどうして奴隷になることをそんなに嫌がるのかわからないけど、じゃあトロブリンたちが誰も奴隷にしないって約束したら?考え直してくれるかしら、バターボーイ」

       コナーはアレックスを見た。彼らには選択の余地はなかった。トロブリンが必要なのだ。

      「まあね」コナーは言った。

       トロールベラは嬉しそうに手を叩いた。「それなら神聖なトロブリンの指切りをして誓うわ」彼女は言った。「みんな右手を上げて、右手があればでいいわ。そして小指を天に向かって突き出すの。さあ、私の後に続いて言うのよ。『私、トロールベラはーー』」

      「私、トロールベラはーー」トロブリン兵たちは繰り返した。

      「違うわ。そこは自分の名前で言うの」彼女がそう言うと、彼らはすぐに訂正した。「いかなる人間も決して本人の同意なしに誘拐、監禁、奴隷にしたり強引に連れて行ったりしないことを約束します」

       トロブリンたちは渋々トロールベラの言葉を繰り返した。

      「上出来よ。小指を戻していいわ。バターボーイと妖精ちゃんは満足かしら?」

      双子はため息をついた。「仕方ないわね」アレックスが言った。

      前にいるゴブリンが手を上げた。

      「耳のないきみ、どうぞ」コナーが声をかけた。

      「合図ってどんなのだ?」ゴブリンが訊ねた。

       コナーも含めた全員がアレックスの方を向いて答えを待った。

      「えーっと、そうね。まだ決めてないの。でも見たらわかるようなものにするから心配しないで」

       トロールベラはアレックスに向かって片眉を吊り上げて言った。「あなた少し自信過剰って言われたことない?」

       トロブリンの兵がアレックスの戦略を全部知るのに日没までかかった。トロールベラは泊まるように主張し、アレックスとコナーが木の床と毛布で寝るよう要塞のプライベートエリアをあてがった。

       水の揺れと十分おきのトロールベラの覗きに加え、二人は心配でなかなか眠れなかった。

      「コナー起きてる?」アレックスがささやいた。

      「訊くまでもないだろ」彼は言った。「どうした?」

      「エルフ帝国のことを考えていたの。トロールたちが協力する見返りを要求するなら、エルフたちも何か求めてくるんじゃないかって」

      「たぶん大量の靴くらいだよ」コナーが言った。「エルフたちは靴が大好きなんだろう?」

      「まあ、そんなに簡単だったらいいけど」アレックスは言った。「女帝が兵を出すのに何か必死で要求をするんじゃないかって考えちゃうの」

      「お前が次のフェアリー・ゴッドマザーで良かったよ」コナーが言った。「いろんなことが一緒にできるからね」

       次の日の朝、二人は木の床のせいで背中の痛みで目が覚めた。そしてトロールベラに別れを告げるとレスターに乗りこんだ。レスターは翼を広げ水から飛び立ち、空へと舞い上がった。

       雲の合間をぬって北西に向かい、エルフ帝国を目指した。二人はグラニー号での冒険を思い出した。雲の上からの世界はとても平穏に見える。エルフたちと話し合いで雲の下の世界がこのように平和になるため一歩近づいてくれることを願った。そして数時間後、彼らは一番北西の端にある王国に着いた。

      「コナー、見て!」アレックスは叫んだ。「あそこよ!あれがエルフ帝国だわ!」

      「うわあ、エルフって本当に木に住んでるよ」

       帝国全体が山のように巨大な一本の木の内側にあった。近づいていくと何百もの家が枝の間に建っているのがわかった。ツリーハウスのように枝の上に建っているものもあれば、小鳥の家のように枝からぶら下がっているものもあり、中にはリスの巣のように木の中に作った家もあった。

       木の葉は体ほど大きく、まるで彼らが縮んでミニチュアの世界に足を踏み入れたかのようだった。レスターは注意深く丈夫な枝に着陸し、二人はレスターから下りた。そして道のような枝に沿って、別の家があり女帝が住んでいるだろう木の中央へと歩いた。

      「この大きな木に大きな虫とか鳥とかいないといいけどな」コナーはそう言うと身震いした。

      「クワァァァ!」レスターがこの発言に気を悪くして声を上げた。

      「お前のことじゃないよ、レスター。大きなカラスやクモのことさ。エサにされたくないんだよ」

       レスターは急に木に怯えたようで、身を守るためによたよたと双子に近づいた。

      「大丈夫よ」アレックスが言った。「周りを見て。ここには何もないわ」

       二人は上や下と前方の枝を調べたが、誰もいなければ何もなかった。ツリーハウスはどれも空き家だ。

      「きっと大陸軍のことを聞いて逃げたんだ」コナーが言った。

       がっかりしてアレックスは小さな枝の上に座った。「でもどこに行ったの?」彼女は訊ねた。「どうやったら見つかるかしら?」

       コナーは木を見渡しながら考えた。「そうだな、誰にも気付かれずに帝国全体が住居を追われ遠くに行ったはずはないーー」彼は止まった。そして考えがまとまる前に遮られた。

      「どういうこと?」アレックスが訊ねた。

      「去年、学校の図書館でおとぎ話を読んでいるぼくを見つけた時のこと覚えてる?」

      「なんとなくね、どうして?」

      「おとぎ話を読むのは僕らのルーツに帰ることだって言っただろ。そして鳥や昆虫のある種は巣が危険にさらされた時に、彼らの木の根っこに隠れるってことも。エルフ達がそういう種だったら?」

       アレックスは立ち上がるとぴょんぴょん跳び始めた。「コナー、天才ね!エルフは出ていったりしてないわ!木の根元に行けば、隠れてるエルフを見つけられるのよ!」

       自分の賢さを祝福する機会を逃すまいとコナーも一緒になって跳びはねた。「覚えていて良かった」彼は嬉しそうに言った。「だって、お前の話はだいたい片方の耳から聞いて、もう片方の耳からーーうあああっ!」

       ボキッ!双子は枝の弱い部分で跳んでしまい、真っ逆さまに落ちていった。驚いたことに木の枝は中が空洞になっており、二人は長い滑り台にいた。滑り台は枝を通り抜けると巨大な幹に続いていた。双子は叫び掴まれるものには掴まろうとしたが、滑り台がつるつるしていたので、木の下へ深く深く滑り落ちて行ったのだった。

       やっと滑り台が終わり、アレックスとコナーは地面に重なり落ちた。巨大な幹は空洞で底の部分が秘密の部屋になっていた。顔をあげると、滑り台はいくつもの枝にらせん状に伸びているうちのひとつだとわかった。彼らは避難路に落ちたのだった。

       そして二人は他に人がいることにも驚いた。何千人ものエルフが思った通りに木の根元に隠れ、彼らを見てびっくりしていた。

       エルフたちはみな背が低く痩せて、何もかもが尖っていた。尖った耳、尖ったあご、尖った靴。そして尖った帽子をかぶっている者までいた。彼らの服は白と黒の非対称で、ベストは横にボタンがつき、ズボンの裾や袖の長さはちぐはぐだった。

      「あの服は何なんだ?」コナーはアレックスにささやいた。
      「『靴職人とエルフ』って話を覚えてない?エルフは自分たちの服を作るのは苦手なのよ」

       二人はすぐに十人ほどのエルフの兵士に囲まれていた。アレックスとコナーは木製のクロスボウを向けられると手を上げた。

      「我々の帝国で何をしている?」兵士の一人が訊ねた。

      「あやしい者じゃないよ!」コナーは言った。

      「女帝と話すために来たの」アレックスは言った。 

       エルフはさらに銃を近づけ問い詰めた。「お前たちは何者だ?」

      「僕はコナー・ベイリー。こっちは妹のアレックス」コナーは取り乱した声で言った。「妹はすごいんだーー今はフェアリー・ゴッドマザーなんだからな」

      「コナー!」

      「他に何て言うんだよ!撃たれそうなんだぜ!」

      「嘘つきどもめ!」エルフが叫んだ。

       アレックスは魔法の杖を手にすると、一振りでクロスボウをすべて花束に変えた。エルフは息を呑み一歩下がった。

      「魔女だ!おれ達の骨を砕いて魔法の薬に入れるつもりなんだ!捕まえろ!」エルフが命じた。兵士たちが向かってきたので、双子は覚悟した。

      「やめなさい!」木の反対側から厳しい声がした。エルフ達はみなその方向へと向いた。秘密の部屋の向こうに、女性のエルフが木の葉で作られた玉座に座っていた。


      | hanno | 06:05 | comments(0) | - | - |
      【TLOS3ブログ読書会】chapter22 ver1.0
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        核心へ


         イースタン王国の南にある三つの村は、真夜中に攻撃されていた。大陸軍の兵士が街へと侵入し村人の食糧を奪い去ってしまったのだ。村人は捕まり、野営キャンプへと連れて行かれた。

         ある村だけは勇敢に軍に立ち上がったものの壊滅されてしまった。兵士たちが知る限りでは、残忍な襲撃で誰ひとり生きている者はいなかった。捕らわれた村人たちが野営キャンプに到着すると、一列に並べられシャベルをそれぞれ与えられた。彼らは掘るようにだけ命じられたのだ。

        「どれだけ掘らせるんだ?」マルキ将官はマスクマンに訊ねた。二人は村人の働きを将官の快適なテントから見ていた。

        「マグマに達するまでだ」マスクマンはドラゴンの卵を大切そうに抱え目を離すことはなかった。「そう長くはかからないだろう。ドラゴン時代、イースタン王国は火山に夢中になった。火山の熱で子供が早く育つので、ドラゴンはマグマの中に卵を産んだんだ」

        「マグマの中に卵を置いて、それからどうなるのだ?」将官は横目で見ながら訊ねた。

        「また教えるよ」とマスクマンは卵をよりしっかりと抱えて言った。そして彼のドラゴンに関する知識が唯一の命の保証だということがわかっていたので、口をきつく結んだ。

        「見かけより賢いようだな」将官が言った。

        「マルキ将官」バトン大佐がテントの後ろから叫んだ。「明日の攻撃の予定が整いました」

         大佐とデ・ランジュ大尉は将官の机のそばに立っていた。大きなおとぎ話の世界の地図が広げられ、数本の旗と王国中を戦略的に人形が置かれていた。

        「話していた通りの計画か?」将官が訊ねた。

        「そうであります」大佐が言った。「明日の明け方、王国を攻撃し主要都市を押さえます。デ・ランジュ大尉とその部下が王国の兵を偵察したところ、我々の兵と新参者が二倍の数になります」

        「続けろ」将官が命じた。

        「巨人たちと千人の兵をエルフ帝国に送ります。エルフ帝国の正確な兵の数はわかりませんが、千人そこらと踏んでおります。魔女たちと三百人の兵は二百人程度の小さな軍を倒しにコーナー王国へ。ゴブリンたちと千人の兵は、千人規模の兵のいるノーザン王国へ。逃亡中の動物たちと四百人の兵は、四百人規模の兵のいる赤ずきん王国。トロールたちと500の兵は、500人規模の兵のいるチャーミング王国、そして残りの新しく加わった犯罪者たちと八百人の兵は、七百人ほどの兵のいるイースタン王国。トロール・ゴブリン自治区は権力も持たず、時間を無駄にしたくないので、気にしなくていいと思われます」

        「我々の軍がそれぞれの数を上回ってます」デ・ランジュ大尉が言った。「そして将官が二千の兵を率いて妖精王国へ行き、妖精宮殿を襲撃するのです」

        「そしてドラゴンだ!」マスクマンが言った。「二千の兵とドラゴンだ」

        「どれくらい早くドラゴンは準備できるんだ?」バトンは訊ねた。

        「ドラゴンの飼育はタイミングが全てなんだ」マスクマンは言った。「マグマの温度とどれだけ餌を与えたかによって数日で完全な大きさに成長する。あなたがたがちゃんと育てるために私をそばに置いておく限りね」

         将官は机の上の地図を注意深く見た。他の指揮官達が自身の情報からすでに勝利を主張していたが、彼は喜ばなかった。戦略の何かが納得できなかったのだ。

        「兵の数は確かなのか?」将官が訊ねた。「グリム兄弟がそれぞれの王国について言っていたのはもっと大きく感じたが」

        「部下が戻ってきたのは、将官が昨日北から戻ってきたすぐ後のことで」デ・ランジュ大尉は言った。「王国の兵たちは中心部での闘いに備えてあるようで、全て数えてあります」

         それでも将官は納得しなかった。勝ちたいならば、兵士とドラゴンより多くを妖精宮殿に投入するのではないかと不審に思った。

        「よかろう」将官は言った。「しかし妖精たちを片付ける前に、兵士とドラゴンよりもやりたいことがある。統治者たちをそれぞれ王国に生きたまま連れ戻すのだ。わかったか」

        「わかりました」バトン大佐は言った。「他の王国の統治者たちを手に入れてから、最後に妖精王国を攻撃するのですね」

        「デ・ランジュ大尉、村人たちにできるだけ早く掘らせるんだ」将官は命じた。「明日の夜明けまでには卵をマグマの中に入れたい」

         大尉は敬礼をすると穴をほっているところへと向かった。マルキ将官は彼の部下が見逃している情報があるのではないかと案じながら禿げた頭をこすった。レンバート中尉は報告する大きなニュースに目を大きくして急いで中に入ってきた。

        「マルキ将官、近くの村であるものが見つかりました。ご覧になりたいかと思いまして」

        「なんだそれは?」何であれ彼の気を引くのは不可能であるかのように言った。

        「魔法の鏡であります」中尉は言った。

         それは将官の興味をかき立てた。魔法の鏡が不思議な力を持っていることを知っていたのだ。この先の闘いについての疑いを消してくれるかもしれない。「持って来い」彼は言った。
         
         テントを後にしたレンバート中尉は少し経ってから、二人の兵士に四角い重いものを中に入れるのを指揮しながら戻ってきた。彼らはそれをテントの隅に立て掛け、保護用にかけられた覆いをはがした。鏡は花の彫刻の彫られた厚みのある金のフレームに見たこともないような純粋なガラスだった。

         将官は毒ヘビに近づくかのように、鏡に歩み寄った。マスクマンは鏡のことをよく知っていたが、将官が何を見るか興味があったので特に忠告はしなかった。

         マルキ将官はしばらく鏡の前に立ったが何も怒らなかった。手を振ってみても映っている姿に変化はなかった。

        「ばか者、騙したな」レンバートに向かって叫んだ。「この鏡に魔法なんて何もないではないか」

         将官が立ち去ろうとした時、テントにいた者たちは息を呑んだ。鏡に映った彼の姿が変わったのだ。勲章で飾られた軍服をきている大人の男の代わりに、弱々しい小さな少年が現れた。酷く痩せた薄汚れた少年は、空腹と百姓への怯えで震えていた。服は穴だらけで涙で湿り、靴は履いていなかった。そして左目は激しい暴行により腫れて潰れていた。

         将官はこの少年を忘れようと生涯を費やしたが、彼を見た瞬間にすぐに思い出した。

        「中尉」マルキ将官は静かだが脅すような口調で言った。「すぐに鏡を外に持っていって壊すんだ。もしまたこんなガラクタで騒がすようだったら、次はお前も始末するからな」

        レンバートは兵士たちと急いで鏡を撤去した。将官は声を荒げたわけではないが、これほど何かに動揺したのを見るのはは初めてだった。将官は鏡がなくなった後もテントの隅をずっと見つめていた。

        「バトン大佐」将官はぶっきらぼうに言った。「夜明けまで待つつもりはないーー準備ができたら兵士をそれぞれの王国に送るんだ」

        「承知しました」大佐はそう言うとテントから出ていったので、マスクマンと将官は二人きりになった。

        「さっきのはどんな魔法の鏡だったんだ?」マルキ将官は訊ねた。

        「真実の鏡さ」マスクマンは言った。「映った人の本当の姿を映すんだ」

         将官は口をつぐみ黙った。

        「とても苦労して育ったようだな」マスクマンは言った。「あなたの力がどこから来たのかがわかるよーーあなた自身を証明しなくてはならない生涯なんだ」

         将官は彼の方を向いた。「分析するんじゃない。知ってるつもりだろうが、何ひとつ知らない。私がどこから来てどんな出自で、今にいたるまで何をしなくてはいけなかったか。鏡の少年は過去の姿でしかない。彼はもう二度と誰かに何かを証明する必要はないだろう」

         マスクマンは危険なことはしない方がいいとわかっていた。「そうだ、あなたを知らない」彼は言った。「だから教えてくれないかーー初めて会った時から不思議だったんだ。なぜこの世界を征服しようとする?別の次元を要求するとは、あなたが何者であれ少し行き過ぎているようだ」

         将官は机まで行くと、一番上の引き出しから分厚い本を取り出した。本をパラパラとめくると、マスクマンには地図や肖像画でいっぱいのページが見えたーー歴史の本だったのだ。

        「私たちのところでは、それぞれの時代がひとりの偉人によって定義される」彼は言った。「アレキサンダー大王、ジュリアス・シーザー、ノルマンディー公、チンギス・ハーンーー偉大なその時代の統治者だ。ナポレオン・ボナパルトという男がすぐに名を連ねるだろうーー他の者が想像を大きく超えるようなナポレオンの夢を支配しなければな」 

        「なるほど」マスクマンは言った。「ナポレオンを越えようとしているのか。でも本当に二人がフランス帝国の偉大な貢献者として名を残すと?」

         マルキ将官は音を立てて本を閉じると机に置いた。「おそらく」彼は言った。「歴史の本には一人分のスペースしかないがな」
         

        | hanno | 20:36 | comments(0) | - | - |
        【TLOS3ブログ読書会】chapter21(後半)ver1.0
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           マザーグースは妖精宮殿の大バルコニーで夜空の星を眺めていた。双子とレスターが行く先々で、うまく兵を集められるように静かに祈った。そして何よりも彼らが無事でいることを祈った。

           エメラルダがバルコニーに駆け込んできた。「マザーグース」息を切らして言った。「フェアリー・ゴッドマザーが目を覚ましたわ」

           マザーグースは舞い上がって、宙に浮きそうだった。「ずっとかい?」

          「あの様子だと、ほんの少しの間だと思う」エメラルダは言った。「ぐったりしていて、あなたを呼んでほしいって」

           二人は急いでフェアリー・ゴッドマザーの部屋に向かった。マザーグースはベッドの側にひざまずき、彼女の手を握った。重そうに開いた目は深い眠りから覚めたばかりで、また眠りについてしまいそうだった。

           「やあ、お邪魔するよ」マザーグースは静かに言った。

           「エメラルダ、ちょっとマザーグースと二人きりにしてくれる?」フェアリー・ゴッドマザーは弱々しく言った。

           エメリックはうなずき部屋を出た。

           「旅立つ前に頼みがあるの」フェアリー・ゴッドマザーは言った。

           「旅立つって?どこに行くつもりだい?」マザーグースは笑った。「ポコノスかい?マーサズ・ヴィニヤードかい?それともパームスプリングス?」

           「わかってるはずよ」

           「ああ」マザーグースは悲しげに言った。「まだそばにいるチャンスがあって欲しいと思っているんだ。それで頼みってなんだい?」

           話そうとするとフェアリー・ゴッドマザーの目は重くなった。「長い間、あなたの秘密をたくさん守ってきた。私はひとつだけ頼んだわ。私がいなくなってもそれを守って欲しいの」

           マザーグースは訊かなくても察しがついた。「別の後継者のことを言っているんだね」

           「ええ」フェアリー・ゴッドマザーは深い息をついて言った。「もしアレックスが魔法の本当の継承者だと証明できなかったら、このベッドに横たわってなかっただろうに。あの子の思いやりは最大の武器でもあり最大の弱点でもなる。もし他にいると知ったらーー、何者かわかったらーー、あの子は私のように騙され破滅してしまうだろう」

           「わかるよ」マザーグースは言った。「約束するよ。秘密は守るからアレックスが知ることはない」

           フェアリー・ゴッドマザーは微笑んだ。「ありがとう」と安心して言った。まぶたを開けておくことができなくなり、深い眠りへと沈んでいくと前よりも穏やかに眠った。これでこの件は済んだのだ。

           マザーグースはため息をつきフェアリー・ゴッドマザーの手を握った。彼女の秘密を守ることはとても難しいことなのだ。


          | hanno | 05:59 | comments(0) | - | - |
          【TLOS3ブログ読書会】chapter21(前半)ver1.0
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            灰の中から



             秘密の小道は郊外をくねくねと通り抜け、橋のない川を渡ると山を登った。道は馬車が王国中を駆け抜けるようには出来てない。 ジャックとゴルディロックスは周囲に気を配ったが、今のところは彼らの密かな旅に問題はなかった。しかし、馬車の外側の平穏な景色と三台目の馬車の内側は別の話だった。

             レッドは妖精王国を出発してから話さないように我慢していた。レッドとリトル・ボーは旅行中まったく話しておらず、何かの会話が二人のひどい討論になるのを怖れて、周りの者達も静かにしていた。その代わりテニスの試合を見ているように、フロギィ、ブリー、エメリックは不穏な視線を交わすレッドとリトル・ボーを交互に見た。

             レッドは静寂が耐えきれなくなると、リトル・ボーにできるだけ外交的に話そうとした。
             「それでリトル・ボー」レッドは言った。「女王として楽しんでるかしら?あたしの王国ーーあらごめんなさいーーあなたの王国で」

             「ええ」リトル・ボーが答えたのはそれだけだった。彼女はレッドが子供じみたゲームをしているかのように、まっすぐ見つめた。

             馬車にいる他の者は、居心地の悪そうな視線を交わした。この会話がひどい結果になることは目に見えていた。

             「それは良かったわ」レッドは歯を食いしばって言った。「選挙の時に公約したことは実行したの?」

             「ほとんど終わったわ」とリトル・ボーは毅然とした表情のまま言った。

             「あら、すごーい」レッドは高い声を出した。「それで改善院の議員たちは元気?」

             「議員たちは本当に村から選出された人達に総入れ替えされたのよ」リトル・ボーは言った。

             レッドは高い声でケラケラと笑わずにはいられなかった。他の者たちは面白がって彼女を見ていたーー彼らも仲間になる機会があったかも知れない。

             「そうなのね」彼女は言った。「お城はどうなの?もう慣れたかしら?前に住んでいた農場の家と比べると、慣れるのに少し時間がかかるでしょうね」

             「実はまだ農場に住んでいるのよ」リトル・ボーは言った。

             レッドは虫でも飲み込んだかのように、むせ返しそうになった。「そうなの?」彼女は全力で落ち着きを保とうとしながら訊ねた。「だったらどうして出ていくよう言ったのよ?」

             「孤児院にしたの」リトル・ボーはにやりとして言った。脳がこれを処理する間、レッドは驚くほど静かだった。そして動物的な本能が彼女の体を支配するように、彼女は拳を上げてリトル・ボーに飛びかかった。

             「殺してやる!」レッドは叫んだ。

             フロギィはこの時のために備えていたので、すぐに彼女を取り押さえた。席に座らせるのにはブリーとエメリックの助けが必要だった。

             「このシラミだらけの羊飼い!わざとでしょ!ガキどもにあたしのお城をくれてやることが一番堪えるとわかってたんだわ!」

             「レッド、孤児たちのことをどうしてそんな風に言えるの?」ブリーが責めた。

             「あら、騙されてはいけないわよ!あたしは非行に走った子たちに会ったことがあるの。どいつもこいつも酷かったわ!ほとんどの子の親は健在だったけどーー子供たちを手に余していたのよ」レッドは言った。

             リトル・ボーはレッドの言動の背後にある理由を否定しなかった。レッドの斜向いに座り、ただいたずらっぽく微笑んだレッドはやっと落ち着くと、エメリックは怪我人が出る前に話題を変えることにした。

             「そのネックレスは?」エメリックはリトル・ボーに訊いた。

             それまで誰にもネックレスのことを訊かれたことがなかったので、リトル・ボーは彼が気づいたことに驚いた。鎖はとても細かったので首元にあるのがほとんど見えず、服の中へと隠れていた。彼女はネックレスを取りだして、ぶら下がっているハート型の石を見せた。

             「石のハートよ」彼女は言った。

             「どうしてそれを身につけているの?」エメリックは訊ねた。

             リトル・ボーはこれまで誰にも訊かれたことがなかったので、何と答えていいのかわからなかった。「とても大事な人を失くしたの」彼女は言った。「彼らを思いだすためにこれをつけているのよ。不思議なことに、悲しみをやわらげてくれるの」

             「亡くなったの?それともあなたから逃げ出した?」レッドは鼻を鳴らして言った。

             リトル・ボーは答えなかった。彼女は手の中でネックレスを転がすと、レッドにただ微笑んだ。彼女がそこにいるだけで言葉をなにか発するよりも、レッドの機嫌は悪くなった。

             先頭の馬車の中はさほど活気はなかったが、乗客はだんだん落ち着きをなくし始めていた。ホープ姫は長い時間閉じ込められてぐずり泣き始めた。シンデレラは娘が眠るまで優しく腕に抱いた。スリーピング・ビューティーは向かいの席で彼女を褒めた。

             「手慣れてるわね。母が恋しくなるわ」スリーピング・ビューティーは言った。

             「私もよ。まだ生きていれば、ちゃんとやれているか訊けるのにって何度も思ったの」
            シンデレラは言った。

             「より良い母なんていないさ。僕たちの母を含めてもね」チャンス王は彼の妻に言った。

             チェイス王は笑った。「ああ、母さんはいい人だったけど、冷たかったもんな」彼は言った。

             スリーピング・ビューティーは微笑み、悲しげに窓の外を見た。母親の話は彼女にとって辛くなってきたのだ。

             「もしこの混乱が収まるとしたらーー」シンデレラは言いかけてすぐに言葉を選び直した。「この混乱が収まったら、あなた達は子供が欲しい?」

             チェイスがなぐさめるように手をスリーピング・ビューティーの手に重ねると、彼女は涙をこらえた。二人には他の者には話していないことがあるのだ。

             「ごめんなさい。そんなつもりじゃーー」とシンデレラはとりあえず謝った。

             「いえ、いいの」スリーピング・ビューティーは言った。「眠りの呪いのせいで、私や王国の多くの女性は子供が出来にくくなってしまったの」

             シンデレラとチャンスはこれを聞いてショックを受けた。「まあ、お気の毒に」とシンデレラは言ったが、彼女をなぐさめる言葉はなかった。

             彼らの同情した顔がスリーピング・ビューティーの痛みや憤りをこれ以上呼び覚ます前に、彼女は後ろの窓を見た。「そういう運命なのよ」彼女は言った。

             馬車の中はとても静かになった。秘密の道はノーザン王国とイースタン王国の国境を曲がると、スリーピング・ビューティーは周りの景色に気づいた。

             「帰ってきたわ」彼女は夫に言った。「遠くからでもこの丘陵がわかったのーー」

             彼女の声は小さくなり、口はぽかんと開いていた。背筋が凍らせるものが視界に飛び込んできたのだ。彼女は今見ているものを口に出せるようになるまでに、窓を開き頭を出した。

             「馬車を止めて!」スリーピング・ビューティーはジャックとゴルディロックスに叫んだ。
             ジャックとゴルディロックスが手綱を引くと馬車は速度を落とし始めたが、スリーピング・ビューティーは完全に止まる前に跳び下りていた。そして彼女が見たものに向かってできるだけ速く走り寄った。

             「待て!そんなに急いでどうしたんだ?」ジャックが叫んだ。

             「どこに行くの?」ゴルディロックスが訊いた。しかし女王はどちらにも答えなかった。

             一行の他の者たちは何の騒ぎか見るために馬車を下りた。彼らはスリーピング・ビューティーが駆けて行くのを見てすぐに後を追ったが、そんなに遠くには行かなかった。スリーピング・ビューティーは誰も見えない村の外れで立ち止まり、恐怖に目を見張っていた。

             村は激しく攻撃され、ほとんど焼け落とされていた。まだ炎上しているところからは、煙がもくもくと立っていた。人の気配はなかった。王や女王たちは、その被害の深刻さから大陸軍によるものに違いないと思った。彼らの武器だけが、この罪のない街の醜い印として残されていた。

             「わからないの」スリーピング・ビューティーは言った。「どうして私の王国が一番の標的にされるの?」

             スノー・ホワイトは歩み寄り、彼女の肩に手を置いた。「イースタン王国は一番初めに日が沈むけど、一番初めに日が昇るわ」

             スリーピング・ビューティーは炎の中の物音に気を取られて、慰めの言葉が聞こえなかった。とても小さな音だったので、本当に聞こえているのか空耳なのかわからなかった。

             「聞こえた?」スリーピング・ビューティーは訊ねた。

             「聞こえたって、何が?」

             「泣き声みたいなの」

             他の者たちは何も聞こえなかったが、再び聞こえると、スリーピング・ビューティーは村の方へと駆け出した。

             「ビューティー、戻るんだ!」チェイスは妻に叫んだ。

             「危険よ!」シンデレラは言った。

             「大丈夫、私たちが捕まえるわ」ゴルディロックスはそう言うとジャックと共に後を追った。
             スリーピング・ビューティーは近づけば大きくなる泣き声をたよりにした。彼女はボロボロの扉や焼け落ちた家を通り中に入ったが、煙を吸わないように手で口を覆わなくてはならなかった。泣き声はとても大きく、それは本物だとわかった。

             ジャックとゴルディロックスは女王を見つけ、彼らもはっきりと泣き声を聞いた。

             「あれは?」ゴルディロックスが訊ねた。

             「赤ん坊のようだ」ジャックが言った。

             「あそこよ!」スリーピング・ビューティーが叫んだ。

             天井が落ちた瓦礫の山の中に、小さな箱が埋もれていた。ジャックとゴルディロックスは箱をひっぱり上げて、ふたを開くのを手伝った。箱の中には小さな女の赤ん坊がいて、彼女は間違いなく大陸軍による襲撃の唯一の生存者だった。
             
             「信じられないわ」ゴルディロックスは驚いて言った。

             「どうして泣き声が聞こえたんだい?」ジャックが訊ねた。

             スリーピング・ビューティーは説明できなかった。「そういう風になってたんだと思うわ」彼女はそう言って赤ん坊を抱き上げた。すると泣いていた赤ん坊は静かになった。

             ゴルディロックスは屋根に目を配らせていた。「急いでここから逃げないと」

             ちょうど屋根が崩れた時、三人は赤ん坊と逃げ出していた。スリーピング・ビューティーは失いそうだった赤ん坊の命を救ったのだ。彼らは村外れで待っている仲間の元へと戻った。彼らは生き残った赤ん坊を見て驚いた。

             「誰の子なの?」ブリーは訊ねた。
             
             「わかってる限りでは、孤児ね」スリーピング・ビューティーは言った。

             「あら、孤児院が必要なら素晴らしい城を知ってるわよ」レッドはそう言って、リトル・ボーをにらみつけた。

             スリーピング・ビューティーは他の者が見たことがないような温かい眼差しで、抱きかかえた赤ん坊に微笑んだ。

             「私も知ってるわ」彼女は言った。「この子は私たちと一緒に暮らすのよ」

             チェイスは説得しようと妻の方に向かったが、赤ん坊の顔を見ると妻の思いがわかった。この子は助けを待っていたのだ。

             「皇族の血筋はどうなんだ?」チャンドラーが他の者たちが考えていることを訊ねた。

             「血筋を気にするなら、村中を見て回って別れていった血筋を見せるわ」スリーピング・ビューティーは言った。「この子は生きながらえたこの王国の子供なの。だから玉座を継ぐに値するわ」

             スリーピング・ビューティーに子供ができないことを知っているのは、シンデレラとチャンスだけだったが、誰も反対しなかった。その赤ん坊が彼らと同じように大陸軍の襲撃から生き逃れたのであれば、暗闇の中の希望の光りだった。

             「何て名前にするの?」シンデレラは訊ねた。

             スリーピング・ビューティーは周りの王や女王と笑顔を交わすと喜びの涙があふれてきた。彼らは自分たちの一人としてこの養子を受け入れたのだ。

             「村の灰から見つけたのだから、アシュと名付けるわ」

             「イースタン王国のアシュ姫、いい響きだね」フロギィが言った。 

             「可愛いわね」ラプンツェルは言った。

             レッドは荒らされた村を見て自責の念にかられた。彼女の玉座を失った怒りや苦しみは、世界が直面しているものに比べるととても小さなものに思えたのだ。この襲撃は彼女の王国でも起こり得たのだと思うと何よりも腹が立った。

             レッドはゴルディロックスの元へ向かった。誰もが論争が始まると思ったのだが、頼み事をして周囲を驚かせた。

             「闘い方を教えてちょうだい」レッドは言った。

             「何ですって?」ゴルディロックスは聞き返した。

             「自分でこの軍と闘う方法を習いたいのよ」レッドは他の者たちに説明した。「これはどの王国でも起こりうることよーーだからイースタン王国への攻撃というだけでなくあたし達への攻撃なの。馬車には戻らず、大切なものを破壊した大陸軍の攻撃を見るわ。もし死ぬとしたら心地よい馬車や玉座の間ではなく、王国民のそばで闘って死にたいわ」

             皇族たちは彼女の言葉が心に響くと互いに目を合わせた。彼らはレッドの言ったことに驚き、心を打たれ、そして一番大切なことに影響を受けたのだ。彼らはみなゴルディロックスに歩み寄り、一緒に頼んだ。

             「私は毎日継母の洗濯をしてたから上半身は鍛えられているのよ」シンデレラが得意気に言った。

             「それに馬車に閉じ込められてるから気晴らししたいわ」スノー・ホワイトが肩をすくめた。

             ゴルディロックスは彼らの関心に心を打たれ鞘から剣を抜いた。「わかったわ。それでは皆さん。大きな棒をひとり一本見つけてちょうだい。まずは剣の使い方からよ」

            | hanno | 09:15 | comments(2) | - | - |
            インタビュー動画を少し
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              こんにちは。
              ブックツアーも終わりTLOS6も読了してしまうと、うら寂しい8月が待ってました。


              後回しにしていた動画を見て元気を出してます(笑)
              <Young Hollywood>


              フェアリーテイル・ルーレットでは、コーヒーとコンプ茶飲んでますね。グリム童話に詳しいところはさすがです。


              そして偶然にも続けて見た動画がこれでした。
              <Today>


              終わりの方で『ヘアリー・テイル』というクイズが始まって、そのネーミングに笑ってしまいました。
              こんなやつです↓



              最近のクリスはと言えば・・・



              大好きなところで楽しんでいるようですね。



              少しゆっくりして、映画の方を進めているんでしょう。
              ファンとしては寂しいですが、しっかり充電して次の作品に打ち込むためには仕方ないですね。
              あたしはそろそろTLOS6のオーディオを聴こうと思います。

              | hanno | 10:43 | comments(0) | - | - |
              【TLOS3ブログ読書会】chapter20(後半)ver1.0
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                 トロブリン自治区を囲む大きな岩山が地平線に現れ、レスターはなだらかな下降を始めた。コナーはさらに近づくと、岩の間が水で満たされているのを見て驚いた。全体が巨大な空中プールのようだ。

                 「ちょっと待って」コナーが言った。「魔女に水浸しにされてから水を出さなかったの?」

                 「ええ」アレックスは言った。「妖精たちが元の状態に戻すって言ったんだけど、トロールベラ女王には考えがあったの」

                 「どんな?」

                 「いずれわかるわ」

                 レスターは自治区内に降下し、なめらかに着水した。かつて自治区だった巨大な湖を渡る小さなボートのようだった。

                 「ウソだろ」コナーはアレックスが話していたことを目の当たりにし、驚いて言った。トロールベラ女王は自治区を広大な水上都市にしたのだ。

                 地下の瓦礫から作られた何百もの要塞が、彼らの前に浮かんでいた。大きな要塞は共用エリアで使われ、トロールとゴブリンの家族は小さな要塞を使っていた。いかだのようなもので水面を滑るトロールもいれば、要塞から要塞へと泳ぐゴブリンもいた。大勢が要塞の端に座り、大きな足を水に浸したり、釣り竿を持ったりしていたが、双子は魚がいないことを確信していた。トロールとゴブリンは地上で暮らすようになった今では、いつもよりも色濃くなっていた。日焼けして緑や青や茶色の濃い影がついたのだ。

                 環境の変化にもかかわらず、湖を漂っているとすべての生き物がとても退屈そうに見えた。アレックスとコナーが大きなガチョウに乗って通り過ぎたことが、この何週間の間で一番の面白い出来事であり、かなりの騒ぎになった。

                 「娯楽に飢えているんだな」とコナーは言い、アレックスはうなずいた。

                 彼らを追ってくる大きなボートからは、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

                 「漕ぐのよ!トロブリン達、漕ぎなさい!」トロールベラは命令した。彼女はボートの前方でくつろいで横たわり日光浴をしていた。ボートの中央にはトロールとゴブリンが十人ずつ座り、命令どおりに長いオールで漕いでいた。トロールの腕が短かったので、ボートはわずかに片方に寄って進んでいた。

                 ある若い男のトロールがボートの後部に立ち漕ぎ手を見張っていた。彼はトロールベラと同じように背が低くぽっちゃりしており、大きな角のついた兜をかぶって胸当てをしていた。双子がレスターに乗って側に漂っているのを見ると、漕ぎ手はみな急に止まった。周りの要塞を持つ全ての生き物は、大きなガチョウを指差しひそひそと話した。

                 「漕ぐのを止めていいって言ったかしら?」トロールベラが言った。停止したままの状態で彼女は何があったのか見るためにイライラして起き上がった。そして他の者たちが見ていたものを発見すると、手で開いた口を覆った。

                 「やあ、トロールベラ」コナーは手を振りおどけて言った。「会いたかったかい?」

                 「バターボーイ!」彼女は息を呑んだ。「本当にあなたなの?それとも蜃気楼?」

                 「本当にいるわよ」アレックスが言った。「あたしもね」

                 「二度と会えないかと思ったわ」トロールベラが驚いて言った。「あなたは家に帰ってしまって、もう戻ってこないかと!あたし達の愛は入口を封印するには強すぎたの?お互いの愛がそれをこじ開けたの?やっとグレート・トロブリン湖の王になるために戻ったの?」

                 「いや、違うよ」コナーははっきり言った。「でも入口はまた開いている、だから僕らはここにいるんだ」

                 「グレート・トロブリン湖なのね?」アレックスが訊いた。「この場所を今はそう呼んでいるの?」

                 「そうよ、妖精ちゃん」トロールベラは顔をしかめて言った。「早く地図が変わって欲しいわ!ずっと水辺に住みたかったんだけど、その夢を魔女が知らずに叶えてくれたの。さあ、あたしのバターボーイをきちんと抱きしめられるように、こっちのボートに乗ってちょうだい」

                 レスターはボートの横を泳ぎ、アレックスとコナーは二人のトロールの漕ぎ手に乗るのを手伝ってもらった。トロールベラは木にぶら下がるクモザルのようにコナーに飛びつき、危うく二人とも水に落ちそうになった。コナーは彼女から解放されるのに時間がかかると思っていたが、思っていたよりも早く離れていった。彼女はいつもの欲望よりも心配に満ちた大きな目で彼を見た。トロールベラは何かが大きく違ったが、双子は時間に追われていたので、それが何かわからなかった。

                 「ねえ、トロールベラ」コナーは言った。「話があって来たんだ。とても悪いことが起こっていて、きみの助けが必要なんだ」

                 トロールベラは両手を腰に置いた。「ひどい知らせを伝えに来ただけなら、あたし達の関係の負担になるだけだわ」彼女は言った。「一度でいいからお花とかチョコレートを持ってきてくれたらいいのに」

                 「百万回くらい言ってるけど、僕たちは何の関係もないんだよ!」コナーが言った。

                 「ええ、あたし達の愛は子供じみた関係には強すぎるの」彼女は言った。「あたし達の愛はとても深くて・・・永遠で・・・不滅なの・・・」トロールの女王は突然泣きだした。

                 「トロールベラ、どうしたの?」アレックスが訊ねた。

                 「話をする前に、バターボーイに知ってもらうことがある」トロールベラは言った。「あなたがいない間に、出会いがあったの」

                 「はぁ?」双子は同時に言った。それは彼女の口から出てくるとは思いもしなかった言葉だった。

                 トロールベラはきまり悪そうにボートのあたりに視線を泳がせ、彼らに背を向けた。目を見て告白しなくてはならなかったのは耐え難かったのだ。「あなたが別の世界へ消えてしまった後、あたし達の愛を維持するのは大変だろうとわかってた。できる限り貞節を守ろうとしたの。人生で一番つらい六日間だったわ。でもバターボーイ、あなたがいないとあたしは弱くて、心はさまよったの。ずっと一人でいると思うと耐えきれなくなって、心を他の人に捧げてしまったの」

                 アレックスとコナーは呆然として顔を見合わせた。今起こっている他のすべてのことを踏まえると、コナーはこの言葉にほっとしているのに驚いた。

                 「いつか奇跡的にあなたが戻ってきたら、すぐに心はあなたへ戻せるとずっと思っていたの。でも今あなたを前にして間違っていたことに気づいたわ」トロールベラは言った。「一度、誰かに愛を注ぐと終わるまで取り戻せないし、新しい人と長くて楽しい人生を計画してるの」

                 「うん、わかったよ。で、その気の毒な男は誰なんだい?」コナーは聞かずにはいられなかった。

                 「彼の名前はゲイターよ。あたしのハートと同じように兵を指揮してるの」トロールベラは言った。彼女はうっとりとボートの後方を見て、角の付いたヘルメットをかぶっている小さなトロールに手を振った。ゲイターはぎこちなく手を振り返したーーこのやり取りはトロールベラが関係の中で予期していたものではなかった。

                 「おめでとう」コナーは二人に言った。

                 「でもあたしはあなたを失望させたわ、バターボーイ!」トロールベラはそう言ってひざまづいた。「あたし達の愛は永遠だと自分で誓ったのに、自分でそれを破ったの!あなたがあたしを愛したほど他の人を愛することはないのに!この残酷な世界にあなたを一人にするのは辛いわ!何か償うことができることがあったら言ってちょうだい!」 

                 アレックスはコナーをそっと突き咳払いをした。これはチャンスなのだ。

                 「どうかなぁ」コナーはそう言うと、最高の失恋パフォーマンスをしてみせた。「本当にショックだよ。心臓を剥ぎ取られて、群がるオオカミに踏みにじられて、巨人に噛み砕かれてるみたいだ。これを乗り越えるにはーー」

                 「でも今の彼を癒やすには、何か出来ることがあるわよ」アレックスは早くしようとして言った。

                 「ええ、そうね。バターボーイ!」トロールベラは彼の足元に這って言った。「あなたの心を癒やすために何でもするわ!罪悪感に耐えられないの!言ってちょうだい!」

                 「そうだなぁ」コナーは芝居がかった様子で言った。「僕の心の傷を本当に癒やし、心の破片を補修して、心の縫い目を縫ってくれるなら・・・君の兵に全面的に協力するようにしてもらいたいな」 

                 「うちの兵がいいの?」トロールベラは訊ね、疑わしげに彼を見た。たとえ彼女のバターボーイであっても、この要求は一線を越えたのかも知れない。

                 「そうなんだ。でもちゃんとした理由があるんだ」コナーが言った。

                 「何千もの兵がこの世界に侵入して征服しようとしているの」アレックスが説明しようとしたが、トロールベラはさえぎった。

                 「妖精ちゃんは黙って!あなたには関係ないんだから、口を出さないでちょうだい!」

                 アレックスは目をぐるりと回すと、コナーに残りの説明をするように促した。彼は手短に大陸軍についてと、彼らが兵を止めるためにトロブリンの助けがいかに必要であるかを話した。コナーの説明はトロールの女王の関心を得られなかったかもしれないが、辺りにいる他の全ての生き物の関心を引きつけた。

                 「俺行くよ!」漕いでいる一人のゴブリンが言った。

                 「面白そうだな!」近くの要塞で聞いていたトロールが言った。

                 「兵士じゃないけど、闘いに協力するよ!」向こう見ずのゴブリンが言った。

                 「オレもだ!」別のトロールが言った。

                 双子は彼らの情熱を目の当たりにするのが楽しかった。闘いが面白そうに聞こえるとは、水上都市の生活は本当に退屈だったのだろう。 

                 トロールベラは目を細め腕を組んで考えた。「でも傷ついた心と兵を交換するのは、すごく不公平な取引きのように思えるわ」彼女は言った。

                 調子を崩すことなく、コナーは胸をかきむしり、痛みでデッキに倒れた。「ああ、傷ついた心!苦しいよ〜!ひどく痛む!」彼は叫んだ。

                 「コナー、心臓は反対側よ」アレックスがささやくと、コナーは急いで正した。

                 トロールベラは彼女のせいでコナーが苦しんでいる姿を見て、目に涙を浮かべた。「バターボーイ!」彼女は駆け寄った。「うちの兵で痛みがやわらぐのなら、兵を使ってもいいわ!」

                 コナーはすぐに普通に起き上がった。「どうもありがとう。本当に感謝するよ!じゃあ兵を集めて、できるだけ早く計画を伝えなきゃ」

                 トロールベラ女王は彼女のボートの漕ぎ手に指示するために立ち上がった。「兵の要塞へ連れて行くのよ!トロブリンたち!」彼女は命じた。「あたしのバターボーイはうちの兵と話して癒やしの工程を始めるの」

                 トロールとゴブリンの漕ぎ手はボートを回転させて、兵の要塞へと向かった。アレックスはレスターについてくるように合図し、コナーを立ち上がらせた。

                 「大したものね」彼女は彼の耳元で囁やいた。

                 「ありがとう」とコナーは言ったが、不服そうな顔をしていた。

                 「どうしたの?」彼女は言った。「トロールの兵を思ったより簡単に仲間にできたのよ!」

                 「わかってるよ」コナーが悲しげに言った。「ただトロールベラが僕よりあのトロールを選んだのが信じられないんだ」


                | hanno | 06:25 | comments(0) | - | - |
                TLOS6ブックツアー(サンノゼ〜シアトル)
                0
                  だんだん残りわずかになってきましたブックツアー。

                  サンノゼ

                  クローヴィスから合流したアシュレイも参加


                  スタッフさんとも





                  そしてサンフランシスコ



                  不思議な柄のシャツですね(笑)






                  コンテスト優勝者のコスチューム


                  マザーグースは人気ですが、レスターまで!


                  http://hexenturm.tumblr.com/post/163573114634/chriscolfernews-chriscolfer-on-my-way-to

                  シアトルに向かってま〜す!


                  シアトル







                  次は初めてのカナダ開催です!
                  | hanno | 06:42 | comments(0) | - | - |
                  TLOS6ブックツアー(クローヴィス)
                  0

                    13ヶ所目はクリスの故郷クローヴィス。小さな街なのでブックツアーで訪れるのは初めてですよね。

                    こんな秘蔵写真まで出してくれました。

                    この子が明日行くからね!

                    イベント会場となったこの劇場は、演劇部で何度も使っていたそうです。

                     

                    公開してくれなかったけど、セルフィーも撮ったんですね。

                     

                    ここでもコスチューム姿の子供たちがいっぱい

                     












                    なごやかムードだったようですね。本当は別の高校に行きたかったけど数学苦手だった行けなかったとか(笑)ブックツアーで毎回のように「歌って」リクエストがあるけど歌わないとか(結構きっぱり断りますよね)。

                     

                    残りも頑張って!

                    | hanno | 22:07 | comments(2) | - | - |
                    TLOS6ブックツアー(マイアミ〜ヒューストン)
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                      いよいよ後半戦に入ってきましたブックツアーですが、ここで嬉しいお知らせ。

                      ダダーンッ!!


                      NYタイムズベストセラーの子供向けシリーズの部門で堂々の第一位です。


                      そしてマイアミ。ピンクのシャツだからか可愛さが際立ってますね♪

                      あ、白黒やった(汗)

                      よく似合ってます













                      ヒューストンの画像がほとんどなくて一枚だけ



                      クリスからフェイスブック始めたよーというお知らせもありました。これは映画に向けての動きですね☆
                      FBページはコチラ

                      さっそくQAがあったようです。
                      http://hexenturm.tumblr.com/post/163405066694/tr0llb3lla-chris-colfer-hello-facebook-its


                      今日も頑張れそうです。
                      | hanno | 06:04 | comments(0) | - | - |

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