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【TLOS3ブログ読書会】chapter21(後半)ver1.0
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     マザーグースは妖精宮殿の大バルコニーで夜空の星を眺めていた。双子とレスターが行く先々で、うまく兵を集められるように静かに祈った。そして何よりも彼らが無事でいることを祈った。

     エメラルダがバルコニーに駆け込んできた。「マザーグース」息を切らして言った。「フェアリー・ゴッドマザーが目を覚ましたわ」

     マザーグースは舞い上がって、宙に浮きそうだった。「ずっとかい?」

    「あの様子だと、ほんの少しの間だと思う」エメラルダは言った。「ぐったりしていて、あなたを呼んでほしいって」

     二人は急いでフェアリー・ゴッドマザーの部屋に向かった。マザーグースはベッドの側にひざまずき、彼女の手を握った。重そうに開いた目は深い眠りから覚めたばかりで、また眠りについてしまいそうだった。

     「やあ、お邪魔するよ」マザーグースは静かに言った。

     「エメラルダ、ちょっとマザーグースと二人きりにしてくれる?」フェアリー・ゴッドマザーは弱々しく言った。

     エメリックはうなずき部屋を出た。

     「旅立つ前に頼みがあるの」フェアリー・ゴッドマザーは言った。

     「旅立つって?どこに行くつもりだい?」マザーグースは笑った。「ポコノスかい?マーサズ・ヴィニヤードかい?それともパームスプリングス?」

     「わかってるはずよ」

     「ああ」マザーグースは悲しげに言った。「まだそばにいるチャンスがあって欲しいと思っているんだ。それで頼みってなんだい?」

     話そうとするとフェアリー・ゴッドマザーの目は重くなった。「長い間、あなたの秘密をたくさん守ってきた。私はひとつだけ頼んだわ。私がいなくなってもそれを守って欲しいの」

     マザーグースは訊かなくても察しがついた。「別の後継者のことを言っているんだね」

     「ええ」フェアリー・ゴッドマザーは深い息をついて言った。「もしアレックスが魔法の本当の継承者だと証明できなかったら、このベッドに横たわってなかっただろうに。あの子の思いやりは最大の武器でもあり最大の弱点でもなる。もし他にいると知ったらーー、何者かわかったらーー、あの子は私のように騙され破滅してしまうだろう」

     「わかるよ」マザーグースは言った。「約束するよ。秘密は守るからアレックスが知ることはない」

     フェアリー・ゴッドマザーは微笑んだ。「ありがとう」と安心して言った。まぶたを開けておくことができなくなり、深い眠りへと沈んでいくと前よりも穏やかに眠った。これでこの件は済んだのだ。

     マザーグースはため息をつきフェアリー・ゴッドマザーの手を握った。彼女の秘密を守ることはとても難しいことなのだ。


    | hanno | 05:59 | comments(0) | - | - |
    【TLOS3ブログ読書会】chapter21(前半)ver1.0
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      灰の中から



       秘密の小道は郊外をくねくねと通り抜け、橋のない川を渡ると山を登った。道は馬車が王国中を駆け抜けるようには出来てない。 ジャックとゴルディロックスは周囲に気を配ったが、今のところは彼らの密かな旅に問題はなかった。しかし、馬車の外側の平穏な景色と三台目の馬車の内側は別の話だった。

       レッドは妖精王国を出発してから話さないように我慢していた。レッドとリトル・ボーは旅行中まったく話しておらず、何かの会話が二人のひどい討論になるのを怖れて、周りの者達も静かにしていた。その代わりテニスの試合を見ているように、フロギィ、ブリー、エメリックは不穏な視線を交わすレッドとリトル・ボーを交互に見た。

       レッドは静寂が耐えきれなくなると、リトル・ボーにできるだけ外交的に話そうとした。
       「それでリトル・ボー」レッドは言った。「女王として楽しんでるかしら?あたしの王国ーーあらごめんなさいーーあなたの王国で」

       「ええ」リトル・ボーが答えたのはそれだけだった。彼女はレッドが子供じみたゲームをしているかのように、まっすぐ見つめた。

       馬車にいる他の者は、居心地の悪そうな視線を交わした。この会話がひどい結果になることは目に見えていた。

       「それは良かったわ」レッドは歯を食いしばって言った。「選挙の時に公約したことは実行したの?」

       「ほとんど終わったわ」とリトル・ボーは毅然とした表情のまま言った。

       「あら、すごーい」レッドは高い声を出した。「それで改善院の議員たちは元気?」

       「議員たちは本当に村から選出された人達に総入れ替えされたのよ」リトル・ボーは言った。

       レッドは高い声でケラケラと笑わずにはいられなかった。他の者たちは面白がって彼女を見ていたーー彼らも仲間になる機会があったかも知れない。

       「そうなのね」彼女は言った。「お城はどうなの?もう慣れたかしら?前に住んでいた農場の家と比べると、慣れるのに少し時間がかかるでしょうね」

       「実はまだ農場に住んでいるのよ」リトル・ボーは言った。

       レッドは虫でも飲み込んだかのように、むせ返しそうになった。「そうなの?」彼女は全力で落ち着きを保とうとしながら訊ねた。「だったらどうして出ていくよう言ったのよ?」

       「孤児院にしたの」リトル・ボーはにやりとして言った。脳がこれを処理する間、レッドは驚くほど静かだった。そして動物的な本能が彼女の体を支配するように、彼女は拳を上げてリトル・ボーに飛びかかった。

       「殺してやる!」レッドは叫んだ。

       フロギィはこの時のために備えていたので、すぐに彼女を取り押さえた。席に座らせるのにはブリーとエメリックの助けが必要だった。

       「このシラミだらけの羊飼い!わざとでしょ!ガキどもにあたしのお城をくれてやることが一番堪えるとわかってたんだわ!」

       「レッド、孤児たちのことをどうしてそんな風に言えるの?」ブリーが責めた。

       「あら、騙されてはいけないわよ!あたしは非行に走った子たちに会ったことがあるの。どいつもこいつも酷かったわ!ほとんどの子の親は健在だったけどーー子供たちを手に余していたのよ」レッドは言った。

       リトル・ボーはレッドの言動の背後にある理由を否定しなかった。レッドの斜向いに座り、ただいたずらっぽく微笑んだレッドはやっと落ち着くと、エメリックは怪我人が出る前に話題を変えることにした。

       「そのネックレスは?」エメリックはリトル・ボーに訊いた。

       それまで誰にもネックレスのことを訊かれたことがなかったので、リトル・ボーは彼が気づいたことに驚いた。鎖はとても細かったので首元にあるのがほとんど見えず、服の中へと隠れていた。彼女はネックレスを取りだして、ぶら下がっているハート型の石を見せた。

       「石のハートよ」彼女は言った。

       「どうしてそれを身につけているの?」エメリックは訊ねた。

       リトル・ボーはこれまで誰にも訊かれたことがなかったので、何と答えていいのかわからなかった。「とても大事な人を失くしたの」彼女は言った。「彼らを思いだすためにこれをつけているのよ。不思議なことに、悲しみをやわらげてくれるの」

       「亡くなったの?それともあなたから逃げ出した?」レッドは鼻を鳴らして言った。

       リトル・ボーは答えなかった。彼女は手の中でネックレスを転がすと、レッドにただ微笑んだ。彼女がそこにいるだけで言葉をなにか発するよりも、レッドの機嫌は悪くなった。

       先頭の馬車の中はさほど活気はなかったが、乗客はだんだん落ち着きをなくし始めていた。ホープ姫は長い時間閉じ込められてぐずり泣き始めた。シンデレラは娘が眠るまで優しく腕に抱いた。スリーピング・ビューティーは向かいの席で彼女を褒めた。

       「手慣れてるわね。母が恋しくなるわ」スリーピング・ビューティーは言った。

       「私もよ。まだ生きていれば、ちゃんとやれているか訊けるのにって何度も思ったの」
      シンデレラは言った。

       「より良い母なんていないさ。僕たちの母を含めてもね」チャンス王は彼の妻に言った。

       チェイス王は笑った。「ああ、母さんはいい人だったけど、冷たかったもんな」彼は言った。

       スリーピング・ビューティーは微笑み、悲しげに窓の外を見た。母親の話は彼女にとって辛くなってきたのだ。

       「もしこの混乱が収まるとしたらーー」シンデレラは言いかけてすぐに言葉を選び直した。「この混乱が収まったら、あなた達は子供が欲しい?」

       チェイスがなぐさめるように手をスリーピング・ビューティーの手に重ねると、彼女は涙をこらえた。二人には他の者には話していないことがあるのだ。

       「ごめんなさい。そんなつもりじゃーー」とシンデレラはとりあえず謝った。

       「いえ、いいの」スリーピング・ビューティーは言った。「眠りの呪いのせいで、私や王国の多くの女性は子供が出来にくくなってしまったの」

       シンデレラとチャンスはこれを聞いてショックを受けた。「まあ、お気の毒に」とシンデレラは言ったが、彼女をなぐさめる言葉はなかった。

       彼らの同情した顔がスリーピング・ビューティーの痛みや憤りをこれ以上呼び覚ます前に、彼女は後ろの窓を見た。「そういう運命なのよ」彼女は言った。

       馬車の中はとても静かになった。秘密の道はノーザン王国とイースタン王国の国境を曲がると、スリーピング・ビューティーは周りの景色に気づいた。

       「帰ってきたわ」彼女は夫に言った。「遠くからでもこの丘陵がわかったのーー」

       彼女の声は小さくなり、口はぽかんと開いていた。背筋が凍らせるものが視界に飛び込んできたのだ。彼女は今見ているものを口に出せるようになるまでに、窓を開き頭を出した。

       「馬車を止めて!」スリーピング・ビューティーはジャックとゴルディロックスに叫んだ。
       ジャックとゴルディロックスが手綱を引くと馬車は速度を落とし始めたが、スリーピング・ビューティーは完全に止まる前に跳び下りていた。そして彼女が見たものに向かってできるだけ速く走り寄った。

       「待て!そんなに急いでどうしたんだ?」ジャックが叫んだ。

       「どこに行くの?」ゴルディロックスが訊いた。しかし女王はどちらにも答えなかった。

       一行の他の者たちは何の騒ぎか見るために馬車を下りた。彼らはスリーピング・ビューティーが駆けて行くのを見てすぐに後を追ったが、そんなに遠くには行かなかった。スリーピング・ビューティーは誰も見えない村の外れで立ち止まり、恐怖に目を見張っていた。

       村は激しく攻撃され、ほとんど焼け落とされていた。まだ炎上しているところからは、煙がもくもくと立っていた。人の気配はなかった。王や女王たちは、その被害の深刻さから大陸軍によるものに違いないと思った。彼らの武器だけが、この罪のない街の醜い印として残されていた。

       「わからないの」スリーピング・ビューティーは言った。「どうして私の王国が一番の標的にされるの?」

       スノー・ホワイトは歩み寄り、彼女の肩に手を置いた。「イースタン王国は一番初めに日が沈むけど、一番初めに日が昇るわ」

       スリーピング・ビューティーは炎の中の物音に気を取られて、慰めの言葉が聞こえなかった。とても小さな音だったので、本当に聞こえているのか空耳なのかわからなかった。

       「聞こえた?」スリーピング・ビューティーは訊ねた。

       「聞こえたって、何が?」

       「泣き声みたいなの」

       他の者たちは何も聞こえなかったが、再び聞こえると、スリーピング・ビューティーは村の方へと駆け出した。

       「ビューティー、戻るんだ!」チェイスは妻に叫んだ。

       「危険よ!」シンデレラは言った。

       「大丈夫、私たちが捕まえるわ」ゴルディロックスはそう言うとジャックと共に後を追った。
       スリーピング・ビューティーは近づけば大きくなる泣き声をたよりにした。彼女はボロボロの扉や焼け落ちた家を通り中に入ったが、煙を吸わないように手で口を覆わなくてはならなかった。泣き声はとても大きく、それは本物だとわかった。

       ジャックとゴルディロックスは女王を見つけ、彼らもはっきりと泣き声を聞いた。

       「あれは?」ゴルディロックスが訊ねた。

       「赤ん坊のようだ」ジャックが言った。

       「あそこよ!」スリーピング・ビューティーが叫んだ。

       天井が落ちた瓦礫の山の中に、小さな箱が埋もれていた。ジャックとゴルディロックスは箱をひっぱり上げて、ふたを開くのを手伝った。箱の中には小さな女の赤ん坊がいて、彼女は間違いなく大陸軍による襲撃の唯一の生存者だった。
       
       「信じられないわ」ゴルディロックスは驚いて言った。

       「どうして泣き声が聞こえたんだい?」ジャックが訊ねた。

       スリーピング・ビューティーは説明できなかった。「そういう風になってたんだと思うわ」彼女はそう言って赤ん坊を抱き上げた。すると泣いていた赤ん坊は静かになった。

       ゴルディロックスは屋根に目を配らせていた。「急いでここから逃げないと」

       ちょうど屋根が崩れた時、三人は赤ん坊と逃げ出していた。スリーピング・ビューティーは失いそうだった赤ん坊の命を救ったのだ。彼らは村外れで待っている仲間の元へと戻った。彼らは生き残った赤ん坊を見て驚いた。

       「誰の子なの?」ブリーは訊ねた。
       
       「わかってる限りでは、孤児ね」スリーピング・ビューティーは言った。

       「あら、孤児院が必要なら素晴らしい城を知ってるわよ」レッドはそう言って、リトル・ボーをにらみつけた。

       スリーピング・ビューティーは他の者が見たことがないような温かい眼差しで、抱きかかえた赤ん坊に微笑んだ。

       「私も知ってるわ」彼女は言った。「この子は私たちと一緒に暮らすのよ」

       チェイスは説得しようと妻の方に向かったが、赤ん坊の顔を見ると妻の思いがわかった。この子は助けを待っていたのだ。

       「皇族の血筋はどうなんだ?」チャンドラーが他の者たちが考えていることを訊ねた。

       「血筋を気にするなら、村中を見て回って別れていった血筋を見せるわ」スリーピング・ビューティーは言った。「この子は生きながらえたこの王国の子供なの。だから玉座を継ぐに値するわ」

       スリーピング・ビューティーに子供ができないことを知っているのは、シンデレラとチャンスだけだったが、誰も反対しなかった。その赤ん坊が彼らと同じように大陸軍の襲撃から生き逃れたのであれば、暗闇の中の希望の光りだった。

       「何て名前にするの?」シンデレラは訊ねた。

       スリーピング・ビューティーは周りの王や女王と笑顔を交わすと喜びの涙があふれてきた。彼らは自分たちの一人としてこの養子を受け入れたのだ。

       「村の灰から見つけたのだから、アシュと名付けるわ」

       「イースタン王国のアシュ姫、いい響きだね」フロギィが言った。 

       「可愛いわね」ラプンツェルは言った。

       レッドは荒らされた村を見て自責の念にかられた。彼女の玉座を失った怒りや苦しみは、世界が直面しているものに比べるととても小さなものに思えたのだ。この襲撃は彼女の王国でも起こり得たのだと思うと何よりも腹が立った。

       レッドはゴルディロックスの元へ向かった。誰もが論争が始まると思ったのだが、頼み事をして周囲を驚かせた。

       「闘い方を教えてちょうだい」レッドは言った。

       「何ですって?」ゴルディロックスは聞き返した。

       「自分でこの軍と闘う方法を習いたいのよ」レッドは他の者たちに説明した。「これはどの王国でも起こりうることよーーだからイースタン王国への攻撃というだけでなくあたし達への攻撃なの。馬車には戻らず、大切なものを破壊した大陸軍の攻撃を見るわ。もし死ぬとしたら心地よい馬車や玉座の間ではなく、王国民のそばで闘って死にたいわ」

       皇族たちは彼女の言葉が心に響くと互いに目を合わせた。彼らはレッドの言ったことに驚き、心を打たれ、そして一番大切なことに影響を受けたのだ。彼らはみなゴルディロックスに歩み寄り、一緒に頼んだ。

       「私は毎日継母の洗濯をしてたから上半身は鍛えられているのよ」シンデレラが得意気に言った。

       「それに馬車に閉じ込められてるから気晴らししたいわ」スノー・ホワイトが肩をすくめた。

       ゴルディロックスは彼らの関心に心を打たれ鞘から剣を抜いた。「わかったわ。それでは皆さん。大きな棒をひとり一本見つけてちょうだい。まずは剣の使い方からよ」

      | hanno | 09:15 | comments(0) | - | - |
      インタビュー動画を少し
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        こんにちは。
        ブックツアーも終わりTLOS6も読了してしまうと、うら寂しい8月が待ってました。


        後回しにしていた動画を見て元気を出してます(笑)
        <Young Hollywood>


        フェアリーテイル・ルーレットでは、コーヒーとコンプ茶飲んでますね。グリム童話に詳しいところはさすがです。


        そして偶然にも続けて見た動画がこれでした。
        <Today>


        終わりの方で『ヘアリー・テイル』というクイズが始まって、そのネーミングに笑ってしまいました。
        こんなやつです↓



        最近のクリスはと言えば・・・



        大好きなところで楽しんでいるようですね。



        少しゆっくりして、映画の方を進めているんでしょう。
        ファンとしては寂しいですが、しっかり充電して次の作品に打ち込むためには仕方ないですね。
        あたしはそろそろTLOS6のオーディオを聴こうと思います。

        | hanno | 10:43 | comments(0) | - | - |
        【TLOS3ブログ読書会】chapter20(後半)ver1.0
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           トロブリン自治区を囲む大きな岩山が地平線に現れ、レスターはなだらかな下降を始めた。コナーはさらに近づくと、岩の間が水で満たされているのを見て驚いた。全体が巨大な空中プールのようだ。

           「ちょっと待って」コナーが言った。「魔女に水浸しにされてから水を出さなかったの?」

           「ええ」アレックスは言った。「妖精たちが元の状態に戻すって言ったんだけど、トロールベラ女王には考えがあったの」

           「どんな?」

           「いずれわかるわ」

           レスターは自治区内に降下し、なめらかに着水した。かつて自治区だった巨大な湖を渡る小さなボートのようだった。

           「ウソだろ」コナーはアレックスが話していたことを目の当たりにし、驚いて言った。トロールベラ女王は自治区を広大な水上都市にしたのだ。

           地下の瓦礫から作られた何百もの要塞が、彼らの前に浮かんでいた。大きな要塞は共用エリアで使われ、トロールとゴブリンの家族は小さな要塞を使っていた。いかだのようなもので水面を滑るトロールもいれば、要塞から要塞へと泳ぐゴブリンもいた。大勢が要塞の端に座り、大きな足を水に浸したり、釣り竿を持ったりしていたが、双子は魚がいないことを確信していた。トロールとゴブリンは地上で暮らすようになった今では、いつもよりも色濃くなっていた。日焼けして緑や青や茶色の濃い影がついたのだ。

           環境の変化にもかかわらず、湖を漂っているとすべての生き物がとても退屈そうに見えた。アレックスとコナーが大きなガチョウに乗って通り過ぎたことが、この何週間の間で一番の面白い出来事であり、かなりの騒ぎになった。

           「娯楽に飢えているんだな」とコナーは言い、アレックスはうなずいた。

           彼らを追ってくる大きなボートからは、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

           「漕ぐのよ!トロブリン達、漕ぎなさい!」トロールベラは命令した。彼女はボートの前方でくつろいで横たわり日光浴をしていた。ボートの中央にはトロールとゴブリンが十人ずつ座り、命令どおりに長いオールで漕いでいた。トロールの腕が短かったので、ボートはわずかに片方に寄って進んでいた。

           ある若い男のトロールがボートの後部に立ち漕ぎ手を見張っていた。彼はトロールベラと同じように背が低くぽっちゃりしており、大きな角のついた兜をかぶって胸当てをしていた。双子がレスターに乗って側に漂っているのを見ると、漕ぎ手はみな急に止まった。周りの要塞を持つ全ての生き物は、大きなガチョウを指差しひそひそと話した。

           「漕ぐのを止めていいって言ったかしら?」トロールベラが言った。停止したままの状態で彼女は何があったのか見るためにイライラして起き上がった。そして他の者たちが見ていたものを発見すると、手で開いた口を覆った。

           「やあ、トロールベラ」コナーは手を振りおどけて言った。「会いたかったかい?」

           「バターボーイ!」彼女は息を呑んだ。「本当にあなたなの?それとも蜃気楼?」

           「本当にいるわよ」アレックスが言った。「あたしもね」

           「二度と会えないかと思ったわ」トロールベラが驚いて言った。「あなたは家に帰ってしまって、もう戻ってこないかと!あたし達の愛は入口を封印するには強すぎたの?お互いの愛がそれをこじ開けたの?やっとグレート・トロブリン湖の王になるために戻ったの?」

           「いや、違うよ」コナーははっきり言った。「でも入口はまた開いている、だから僕らはここにいるんだ」

           「グレート・トロブリン湖なのね?」アレックスが訊いた。「この場所を今はそう呼んでいるの?」

           「そうよ、妖精ちゃん」トロールベラは顔をしかめて言った。「早く地図が変わって欲しいわ!ずっと水辺に住みたかったんだけど、その夢を魔女が知らずに叶えてくれたの。さあ、あたしのバターボーイをきちんと抱きしめられるように、こっちのボートに乗ってちょうだい」

           レスターはボートの横を泳ぎ、アレックスとコナーは二人のトロールの漕ぎ手に乗るのを手伝ってもらった。トロールベラは木にぶら下がるクモザルのようにコナーに飛びつき、危うく二人とも水に落ちそうになった。コナーは彼女から解放されるのに時間がかかると思っていたが、思っていたよりも早く離れていった。彼女はいつもの欲望よりも心配に満ちた大きな目で彼を見た。トロールベラは何かが大きく違ったが、双子は時間に追われていたので、それが何かわからなかった。

           「ねえ、トロールベラ」コナーは言った。「話があって来たんだ。とても悪いことが起こっていて、きみの助けが必要なんだ」

           トロールベラは両手を腰に置いた。「ひどい知らせを伝えに来ただけなら、あたし達の関係の負担になるだけだわ」彼女は言った。「一度でいいからお花とかチョコレートを持ってきてくれたらいいのに」

           「百万回くらい言ってるけど、僕たちは何の関係もないんだよ!」コナーが言った。

           「ええ、あたし達の愛は子供じみた関係には強すぎるの」彼女は言った。「あたし達の愛はとても深くて・・・永遠で・・・不滅なの・・・」トロールの女王は突然泣きだした。

           「トロールベラ、どうしたの?」アレックスが訊ねた。

           「話をする前に、バターボーイに知ってもらうことがある」トロールベラは言った。「あなたがいない間に、出会いがあったの」

           「はぁ?」双子は同時に言った。それは彼女の口から出てくるとは思いもしなかった言葉だった。

           トロールベラはきまり悪そうにボートのあたりに視線を泳がせ、彼らに背を向けた。目を見て告白しなくてはならなかったのは耐え難かったのだ。「あなたが別の世界へ消えてしまった後、あたし達の愛を維持するのは大変だろうとわかってた。できる限り貞節を守ろうとしたの。人生で一番つらい六日間だったわ。でもバターボーイ、あなたがいないとあたしは弱くて、心はさまよったの。ずっと一人でいると思うと耐えきれなくなって、心を他の人に捧げてしまったの」

           アレックスとコナーは呆然として顔を見合わせた。今起こっている他のすべてのことを踏まえると、コナーはこの言葉にほっとしているのに驚いた。

           「いつか奇跡的にあなたが戻ってきたら、すぐに心はあなたへ戻せるとずっと思っていたの。でも今あなたを前にして間違っていたことに気づいたわ」トロールベラは言った。「一度、誰かに愛を注ぐと終わるまで取り戻せないし、新しい人と長くて楽しい人生を計画してるの」

           「うん、わかったよ。で、その気の毒な男は誰なんだい?」コナーは聞かずにはいられなかった。

           「彼の名前はゲイターよ。あたしのハートと同じように兵を指揮してるの」トロールベラは言った。彼女はうっとりとボートの後方を見て、角の付いたヘルメットをかぶっている小さなトロールに手を振った。ゲイターはぎこちなく手を振り返したーーこのやり取りはトロールベラが関係の中で予期していたものではなかった。

           「おめでとう」コナーは二人に言った。

           「でもあたしはあなたを失望させたわ、バターボーイ!」トロールベラはそう言ってひざまづいた。「あたし達の愛は永遠だと自分で誓ったのに、自分でそれを破ったの!あなたがあたしを愛したほど他の人を愛することはないのに!この残酷な世界にあなたを一人にするのは辛いわ!何か償うことができることがあったら言ってちょうだい!」 

           アレックスはコナーをそっと突き咳払いをした。これはチャンスなのだ。

           「どうかなぁ」コナーはそう言うと、最高の失恋パフォーマンスをしてみせた。「本当にショックだよ。心臓を剥ぎ取られて、群がるオオカミに踏みにじられて、巨人に噛み砕かれてるみたいだ。これを乗り越えるにはーー」

           「でも今の彼を癒やすには、何か出来ることがあるわよ」アレックスは早くしようとして言った。

           「ええ、そうね。バターボーイ!」トロールベラは彼の足元に這って言った。「あなたの心を癒やすために何でもするわ!罪悪感に耐えられないの!言ってちょうだい!」

           「そうだなぁ」コナーは芝居がかった様子で言った。「僕の心の傷を本当に癒やし、心の破片を補修して、心の縫い目を縫ってくれるなら・・・君の兵に全面的に協力するようにしてもらいたいな」 

           「うちの兵がいいの?」トロールベラは訊ね、疑わしげに彼を見た。たとえ彼女のバターボーイであっても、この要求は一線を越えたのかも知れない。

           「そうなんだ。でもちゃんとした理由があるんだ」コナーが言った。

           「何千もの兵がこの世界に侵入して征服しようとしているの」アレックスが説明しようとしたが、トロールベラはさえぎった。

           「妖精ちゃんは黙って!あなたには関係ないんだから、口を出さないでちょうだい!」

           アレックスは目をぐるりと回すと、コナーに残りの説明をするように促した。彼は手短に大陸軍についてと、彼らが兵を止めるためにトロブリンの助けがいかに必要であるかを話した。コナーの説明はトロールの女王の関心を得られなかったかもしれないが、辺りにいる他の全ての生き物の関心を引きつけた。

           「俺行くよ!」漕いでいる一人のゴブリンが言った。

           「面白そうだな!」近くの要塞で聞いていたトロールが言った。

           「兵士じゃないけど、闘いに協力するよ!」向こう見ずのゴブリンが言った。

           「オレもだ!」別のトロールが言った。

           双子は彼らの情熱を目の当たりにするのが楽しかった。闘いが面白そうに聞こえるとは、水上都市の生活は本当に退屈だったのだろう。 

           トロールベラは目を細め腕を組んで考えた。「でも傷ついた心と兵を交換するのは、すごく不公平な取引きのように思えるわ」彼女は言った。

           調子を崩すことなく、コナーは胸をかきむしり、痛みでデッキに倒れた。「ああ、傷ついた心!苦しいよ〜!ひどく痛む!」彼は叫んだ。

           「コナー、心臓は反対側よ」アレックスがささやくと、コナーは急いで正した。

           トロールベラは彼女のせいでコナーが苦しんでいる姿を見て、目に涙を浮かべた。「バターボーイ!」彼女は駆け寄った。「うちの兵で痛みがやわらぐのなら、兵を使ってもいいわ!」

           コナーはすぐに普通に起き上がった。「どうもありがとう。本当に感謝するよ!じゃあ兵を集めて、できるだけ早く計画を伝えなきゃ」

           トロールベラ女王は彼女のボートの漕ぎ手に指示するために立ち上がった。「兵の要塞へ連れて行くのよ!トロブリンたち!」彼女は命じた。「あたしのバターボーイはうちの兵と話して癒やしの工程を始めるの」

           トロールとゴブリンの漕ぎ手はボートを回転させて、兵の要塞へと向かった。アレックスはレスターについてくるように合図し、コナーを立ち上がらせた。

           「大したものね」彼女は彼の耳元で囁やいた。

           「ありがとう」とコナーは言ったが、不服そうな顔をしていた。

           「どうしたの?」彼女は言った。「トロールの兵を思ったより簡単に仲間にできたのよ!」

           「わかってるよ」コナーが悲しげに言った。「ただトロールベラが僕よりあのトロールを選んだのが信じられないんだ」


          | hanno | 06:25 | comments(0) | - | - |
          TLOS6ブックツアー(サンノゼ〜シアトル)
          0
            だんだん残りわずかになってきましたブックツアー。

            サンノゼ

            クローヴィスから合流したアシュレイも参加


            スタッフさんとも





            そしてサンフランシスコ



            不思議な柄のシャツですね(笑)






            コンテスト優勝者のコスチューム


            マザーグースは人気ですが、レスターまで!


            http://hexenturm.tumblr.com/post/163573114634/chriscolfernews-chriscolfer-on-my-way-to

            シアトルに向かってま〜す!


            シアトル







            次は初めてのカナダ開催です!
            | hanno | 06:42 | comments(0) | - | - |
            TLOS6ブックツアー(クローヴィス)
            0

              13ヶ所目はクリスの故郷クローヴィス。小さな街なのでブックツアーで訪れるのは初めてですよね。

              こんな秘蔵写真まで出してくれました。

              この子が明日行くからね!

              イベント会場となったこの劇場は、演劇部で何度も使っていたそうです。

               

              公開してくれなかったけど、セルフィーも撮ったんですね。

               

              ここでもコスチューム姿の子供たちがいっぱい

               












              なごやかムードだったようですね。本当は別の高校に行きたかったけど数学苦手だった行けなかったとか(笑)ブックツアーで毎回のように「歌って」リクエストがあるけど歌わないとか(結構きっぱり断りますよね)。

               

              残りも頑張って!

              | hanno | 22:07 | comments(2) | - | - |
              TLOS6ブックツアー(マイアミ〜ヒューストン)
              0

                いよいよ後半戦に入ってきましたブックツアーですが、ここで嬉しいお知らせ。

                ダダーンッ!!


                NYタイムズベストセラーの子供向けシリーズの部門で堂々の第一位です。


                そしてマイアミ。ピンクのシャツだからか可愛さが際立ってますね♪

                あ、白黒やった(汗)

                よく似合ってます













                ヒューストンの画像がほとんどなくて一枚だけ



                クリスからフェイスブック始めたよーというお知らせもありました。これは映画に向けての動きですね☆
                FBページはコチラ

                さっそくQAがあったようです。
                http://hexenturm.tumblr.com/post/163405066694/tr0llb3lla-chris-colfer-hello-facebook-its


                今日も頑張れそうです。
                | hanno | 06:04 | comments(0) | - | - |
                TLOS6ブックツアー7〜9日目
                0
                  すっかりTLOS6に夢中になって読んでいる間にもブックツアーは進んでいました。

                  ルイビルにて


                  Youtubeで有名らしい女の子と


                  インタビューもあります
                  http://hexenturm.tumblr.com/post/163170914919/chriscolfernews-audrey-met-actorauthor-chris



                  シカゴではTVにも出演したようです








                  Windy City Live(未見ですが後でみる)
                  http://hexenturm.tumblr.com/post/163171007374/chriscolfernews-windy-city-live-glee-actor-and



                  そして追加されたセントポール

                  コスチュームコンテストの参加者
                  http://chriscolfernews.co/post/163198914033/aplotkin716-chicago-i-have-bad-news-minnesota






                  ここでクリスもひと休み


                  お疲れ様でした。リフレッシュして後半戦!
                  | hanno | 06:08 | comments(0) | - | - |
                  TLOS6ブックツアー4〜6日目
                  0
                    ブックツアー4日目はピッツバーグ

                    空港ではこんなお出迎えがあるんですね


                    このような会場だったようです


                    めっちゃ可愛いじゃないですか!







                    5日目のリッチモンドにはスペシャルゲストが登場するとのこと

                    素敵な会場♪


                    スペシャルゲストはTLOSのイラストレーターのブランドンさん


                    とても優しそうな方です


                    ご家族で登場


                    そしてコスチュームコンテストの優勝者は似顔絵を描いてもらえるという


                    可愛らしいマザーグースちゃん、嬉しいですね



                    6日目のシンシナティ



                    今回もたくさんの子供たち










                    コルファー先生の移動はまだまだ続きます☆
                    TLOS6を読みながら応援します。(ただいま8章あたりです)
                    | hanno | 21:14 | comments(0) | - | - |
                    TLOSパーティキット
                    0
                      今回は発売記念としてTLOSパーティキットが用意されています。ブックツアーに参加できないファンも楽しめるように企画されたのかも知れませんね。(毎回ツアー日程が発表されると、ヨーロッパは?アジアは?って聞かれてますから。笑)

                      パーティキットはコチラから
                      http://hexenturm.tumblr.com/post/162795287784/chriscolfernews-the-land-of-stories-official



                      中身はこんな感じです


















                      トロールベラちゃんのトリビアクイズとかありますね。

                      1.TLOSシリーズ6冊のタイトルは?

                      2.1巻でフロギィが飲んでいたお茶はどんなお茶?

                      3.ゴルディロックスの馬の名前は?

                      4.2巻でアレックスとコナーはどうやっておとぎ話の世界に行った?

                      5.魔女(Enchantress)の本当の名前は?

                      6.2巻でレッドがペットにした動物は?

                      7.TLOSシリーズ6冊のカバーの色は?

                      8.トロールベラがコナーにつけたニックネームは?

                      9.海の女王の一番大切なものは?

                      10.ボブがコナーにあげたスーツケースの名前は?


                      ・・・解答は8枚目にあるので挑戦してみてくださいね。


                      ブックツアーの方はクリントン、ボストンと終わったようです。








                      こちらがボストンの会場


                      コスチューム姿の子供たちがいっぱいで楽しそうです




                      まだまだ始まったばかりのツアー、TLOS6を読みながらチェックしていきたいと思います。
                      | hanno | 21:46 | comments(0) | - | - |

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                      TLOSシリーズ第4弾!ハードカバー版です

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